資料メモ

記者は知っていたか

高宮太平『昭和の将帥』図書出版社 翌朝早く永田の私邸を襲うと、まだ寝ていた。起きるのを待っていると「どうだ、北大営は占領したろうね」と応接室の扉を排して出てきた。目が赤く充血している。「今朝はまだ社に寄っていませんから、その後の状況は知りま…

蒙古と呼ばせて

『徳王自伝』岩波書店 私が張家口に到着するや、すぐ出発することとなり、北京・山海関・奉天・朝鮮等を経由し、海を渡って、[10月19日]日本の下関駅に着いた。日本国内で歓迎の人々とあいさつする際、私はいつも「蒙古」と言って、「蒙疆」とは言わなかった…

三笠宮殿下の戦争指導批判

三品隆以『我観石原完爾』より。若杉参謀こと三笠宮崇仁親王殿下*1が昭和19年、支那派遣軍離任の際、司令部将校団に対して行われた講演の骨子。 (一)支那派遣軍の戦争目的は分明でない。即ち、その名分が、明確にされていない。 (二)軍、政、経各般にわ…

百年の明日 ニッポンとコリア

朝日新聞3月24日朝刊より。 蓮池薫さんのロングインタビュー。 −ソウル訪問の印象をつづった「半島へ、ふたたび」(新潮社)を出版されました。韓国への旅を思い立ったのは、なぜ。 「大学で韓国語を教えていて、以前から一度は訪れたいと考えていました。初…

沖縄返還密使 覚悟の死

朝日新聞3月11日朝刊 1996年7月27日、福井県鯖江市。高台にある若泉氏の自宅に知人らが集まった。「他策」の英訳版作成にあたり、同氏と訳者、編集者らが合意を確認するためだ。 がんに侵され、ベッドにいた。「これで思い残すことはない」。会議は終わり、…

ヘーシンクに敗れた日本柔道

朝日新聞昭和36年12月5日 牛島八段は敗因として選手の環境の差と研究不足、そして闘志の不足をあげた。「環境の差というのは曾根、神永、古賀いづれにしても道場を持っているヘーシンク、つまり柔道専門家の彼とサラリーマン、学生である日本選手との差をい…

大杉栄殺害

中島欣也『銀河の道 ”社会主義中尉”松下芳男の生涯』より 松下の同期生で、陸士生徒に長く歌い継がれた”学科嫌い”の歌の作詞者水島周平は、このころ軍職を退いていたが、甘粕事件について、「東京日日新聞」の「角笛」欄に投書をした。彼は幼年学校教育の中…

バターン攻略後

畠山清行『陸軍中野学校 1諜報戦史』番町書房より 大本営からきていた参謀の一人が、 「捕虜は全部銃殺しろ」 といいだしたのだ。これについて、第十六師団長(京都)だった森岡皐中将は、 「私が、川で顔を洗っていると、私の参謀長と大本営からきた参謀が…

北条義時

阪谷芳直『老北京の面影』 「センチメンタルなところや甘さを全然持たず、冷酷無残に政治目的を追求する鉄の意志の持ち主、こういうのがスターリンだ。あれはアジアの遊牧民族の生み出す人間の型であり、日本には滅多に生まれない型だ・・・ こっち(中江)…

兵隊はあんまり死刑にならない

というのは、以下の統計が示すとおり。 戦犯裁判 - There is a light that never goes out. BC級戦犯の統計 - There is a light that never goes out. まあ、記録に残らない部分まで考えれば、いろいろあるかも知れない。今この時代に開かれている情報が、全…

ゴボウ

岩川隆『孤島の土となるとも』 曖昧な口供書にもとづく裁判がいずれも不当な内容になったのは当然だった。土屋辰雄ケースの裁判記録を見ても、 「木の根を食べさせたそうではないか」 「あれはゴボウというものです」 「火あぶりによって拷問・虐待している…

中江丑吉の1941年末の書き込み

『中江丑吉の人間像 兆民を継ぐもの』 「四日より十四日迄臥床、此間八日より太平洋戦争勃発す。四十一年十二月十六日朝十時半、庭中の降雪未だ全く融けず陽光にぶやか也」

谷干城より望月小太郎への書簡

野夫等固より外国に対し平和主義を取るものなり外交上英雄主義を排し君子主義を取る者なり故に第九議会に於ても軍備大拡張に反対せしも畢竟国家の為めなり主義の為めなり此説身寸断せらるるも決て替る能はざるなり近日の新聞によれば山縣侯職を辞し伊藤侯之…

明治天皇は張飛が好き

沼田哲『明治天皇と政治家群像』 明治五年のこととして、天皇が三国志の英雄を好み、特に張飛を好んでいることに対し、元田(永孚)が「張飛の声大なりと雖も堯舜の勇は万邦も協和す、張飛に勝れること万々」と、天皇が張飛といった英雄豪傑にではなく、堯舜…

勅令三二四号

これも過去記事発掘なのだが、昨晩ふと思い出した。 近衛読書中隊 鵜沢総明 しかし、朝鮮に関する制令はすべて法律案によらず緊急勅令で律しようとする勅令三二四号には烈火のごとく怒った。原との対談ではこれを千古の悪法と断じ、六法全書を机に叩きつけて…

乃木将軍は無能ではない

というわけで、乃木神社参拝記念に、今村均大将が読売新聞に投稿*1した「乃木将軍は無能ではない」を掲載しておきましょう。 眼病を得て近来暫く読書の楽しみから道ざかっていたが、別冊文芸春秋第百号に掲載された司馬遼太郎氏の「要塞」だけは読み返すこと…

伊藤博文の戦略

現代史資料「大本営」より 政略に関することばかりでなく、自ら任ずる厚き伊藤首相は、大本営会議において忌憚なく戦略を論じて、陸海軍幕僚と激論を闘わしたことさえあった。二十七年十二月四日、伊藤が「威海衛を衛き、台湾を略すべき方略」を大本営に提出…

<座談会>ノモンハン事件の謎と嘘(3)

<座談会>ノモンハン事件の謎と嘘(2) - There is a light that never goes out.の続き 情報分析の大失態 秦 第六軍が編成されたあと、八月二十日からソ連軍の大攻勢が始まりますね。これに対する準備がぜんぜんないのに、日本軍のほうは四日目に攻勢に移…

<座談会>ノモンハン事件の謎と嘘(2)

<座談会>ノモンハン事件の謎と嘘(1) - There is a light that never goes out.の続き お粗末な公刊戦史の地図 須見 さきほど国境線のところで申し上げた関東軍が作った十万分の一の地図ですが、これを初期から作戦に使っています。ところが九月に入ると…

<座談会>ノモンハン事件の謎と嘘(1)

『歴史と人物』昭和61年冬号 動く国境線 秦 ノモンハン事件は国境紛争が原点です。そこで、まず当時のソ満国境線について論じてみたいと思います。 本日(八月二十八日)、ご帰国を明後日にひかえて出席いただいたクックス博士は、昨年『ノモンハン』という…

A・I・ヴィシンスキー

ジョセフ・E・パーシコ『ニュルンベルク軍事裁判 上』原書房より ヴィシンスキーはグラスを飲み干していった。「ウォッカは人類の敵です。平らげなければいけません!」招待客たちは歓声をあげ、彼のあとにつづいた。その後、彼はお互いに法曹であることに触…

鳩山一郎最初で最後の演説

戦時刑事特別法は最終的には賛成多数で改正されたが、非党人の議員を中心に、意外に改正反対運動が盛り上がった*1。それを見た中野正剛は、三木武吉を介し、鳩山一郎の出廬を促した。昭和18年6月17日の第82臨時議会、久々に議会に出席した鳩山は次のように発…

森嶋通夫・新「新軍備計画」

古本祭りで「文藝春秋」にみる昭和史が4冊揃いで1200円であったので購入した。この文章は、その筋の人々の間では有名なのだろうが、私は初めて読んだ。 同様に、万が一にもソ連が攻めてきた時には自衛隊は毅然として、、秩序整然と降伏するより他ない。徹底…

三島由紀夫「東大を動物園にしろ」

新執行部の招集で御殿下グラウンドに五百人ぐらいの教師が集まった。そこへ百五十人かそこらの学生が現われただけで、この青空集会もたちまちにして雲散霧消させられちまった。そういう連中がこれまで何をしていたか。"変革の情熱"だの"変革の思想"だのと、…

森戸事件と興国同志会の分裂

中谷武世『昭和動乱期の回想』 中谷 当時の「日の会」、前身の興国同志会、それと吉野作造博士が中心の新人会が東大内の学生団体として対立しておった。妙なもので新人会の出身者がそれぞれ後の社会主義政党の指導者になりましたね。そして興国同志会、「日…

クノップ『ヒトラー暗殺』

録画していた『ブラックブック』を見終えた。主人公は『ワルキューレ』でニナ・シュタウフェンベルクを演じているカリス・ファン・ハウテン。『ワルキューレ』では印象薄かったけどね。ムンツェ大尉は『オペレーション・ワルキューレ』のシュタフェンベルク…

フライスラー

これが国策捜査だ!

渡邊行男『中野正剛自決の謎』より摘要 東條総理 中野一派の問題について政府の態度をはっきりさせたいと思う。議会も明日より開かれる。この際はっきり処置したい。今回、政府は苛烈なる戦争下、これに即応して国内態勢強化を決意せることは御承知の通りで…

六列車でいこう

文藝春秋四月号の座談会で、秦郁彦教授が、日露戦争前に田中義一がロシアの輸送能力を過小に見積もったという話をされておられた。有名な話だからご存知の方も多いと思うが、一応『評伝田中義一』より、次のエピソードを紹介しておく。文中の"私"は参謀本部…

再録・鈴木貫太郎×安藤輝三

近衛読書中隊 安藤大尉と鈴木貫太郎 今陸軍の兵は多く農村から出ているが、農村が疲弊しておって後顧の憂いがある。この後顧の憂いのある兵をもって外国と戦うことは薄弱と思う、それだから農村改革を軍隊の手でやって後顧の憂いのないようにして外敵に対抗…