文学

島尾敏雄日記

島尾敏雄日記が刊行された。 六月十五日 夜、前の道を助けて!と叫びながら拉致されて行く女がゐた。 昭和21年である。怖いのお。

作家になった司馬遼太郎のお手伝いさん

5月7日朝日新聞朝刊「ひと」欄より村木嵐さん 故司馬遼太郎さんに仕えた歴代11代目にして最後の「お手伝い」さんが、作家としての登竜門をくぐった。弾圧される「切支丹」を描いた歴史小説「マルガリータ」で、松本清張賞の受賞が決まった。 「先生のお供」…

井上靖の実力

井上靖は娘の結婚式で、四高時代の友人に、「井上君は柔道をやっていたが、あまり強くなかったらしい」というスピーチをされ、 「柔道が強くなかったと言われるのは甚だ心外です」 と、珍しく色をなして駁したそうだ。 井上は昭和3年のインターハイ中部予選…

井上靖のこと

”この夏や汗も血もたゞに弁へず” あすなろ物語で鮎太の友人が出征前に残していた句の原型がこれ。この句の作者で、井上が敬愛した高安敬義も、物語の中の金子と同じく、支那事変で戦死した。 終戦の8月15日、大阪毎日新聞の社会面のトップ記事を書いたのは井…