平尾道雄氏の著作

坂本龍馬 - 海援隊始末記 (中公文庫)

坂本龍馬 - 海援隊始末記 (中公文庫)

陸援隊始末記―中岡慎太郎 (中公文庫)

陸援隊始末記―中岡慎太郎 (中公文庫)

子爵谷干城伝 (1981年)

子爵谷干城伝 (1981年)

龍馬が鹿児島の西郷の家にやっかいになっていたときのこと。ある日夫人に「いちばん古いふんどしを下さらぬか」と頼んだ。夫人は使い古しのふんどしを請われるままに与え、帰宅した西郷にそのことを報告したところ、滅多に怒ることのない彼に、目から火が出るほど怒られた。

「お国のために命を捨てようという人だと知らないか。さっそく一番新しいのを代えて上げろ」

谷守部(干城)が後藤象二郎に言いくるめられて上海へ向かったときのこと。後藤から支那人は狡猾だから用心しろと言われていた谷は、公開中、ふと目を覚ますと、支那人風の男が、彼の靴をもって船室から出て行くのに気付いた。さてはと思い飛びかかると、それは船室付きのボーイで、お客のために靴を磨こうとしていたのだった。
中岡慎太郎が初めて岩倉具視を尋ねた時、一緒に行ったのが十津川郷士の前田雅楽だった。前田正美*1の祖父に当たる人だ。中岡と龍馬が暗殺されたことを聞いた岩倉は、

「何者の凶豎ぞ、わが片腕をうばい去る」

と涙をながした。