平尾道雄氏の著作
- 作者: 平尾道雄
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「お国のために命を捨てようという人だと知らないか。さっそく一番新しいのを代えて上げろ」
谷守部(干城)が後藤象二郎に言いくるめられて上海へ向かったときのこと。後藤から支那人は狡猾だから用心しろと言われていた谷は、公開中、ふと目を覚ますと、支那人風の男が、彼の靴をもって船室から出て行くのに気付いた。さてはと思い飛びかかると、それは船室付きのボーイで、お客のために靴を磨こうとしていたのだった。
中岡慎太郎が初めて岩倉具視を尋ねた時、一緒に行ったのが十津川郷士の前田雅楽だった。前田正美*1の祖父に当たる人だ。中岡と龍馬が暗殺されたことを聞いた岩倉は、
「何者の凶豎ぞ、わが片腕をうばい去る」
と涙をながした。