在日華人天安門記

朝日6月7日朝刊1面より

事件当時、日本でも数千人のデモがあり、日本に残った留学生も多い。だが、いまや表だって民主化を語る人は少数派だ。
昨年、大阪で、かつての民主化運動のメンバーらが集まった。「遺産」の使い方を決めるためだ。
天安門事件当時、関西の中国人留学生らでつくった「中国民主化支援連合会」に留学生や日本の市民からカンパが寄せられた。だが、中国の民主化運動は弾圧され、資金の送り先を失った。利子も含めて700万円余りになる。
昨年になって、元リーダーの大学教授が、資金を四川大地震の救援金に使おうと提案した。同じころ、天安門事件の犠牲者の遺族団体がウェブサイトで犠牲者のリストなどを公表し、この遺族団体に寄付する案も出された。「カンパしてくれた日本人のためにも、目的を変えることは許されない」。メンバーは遺族団体への送金を支持した。
四川送金を呼びかけた教授はその後、中国の名門大学の幹部に迎えられた。一方、遺族団体への寄付を支持した大学講師の余項科さん(46)は「20年前の思いを忘れずに持っている」と語る。民主化へのこだわりは今なお多くの在日華人の胸に漂う。

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