ちょっと感想

もう先週のことになるが、白戸仁康『北海道の捕虜収容所』を読み終えた。詳しい感想はまた後ほど書くが、先に一つだけ。

 さらに午前一〇時半、弁護側の最終弁論が終わったところで、一枚の紙片を手にした首席検察官が再論告を求めた。サットルの両親からの電報である。「私たちの愛する子供レイモンドを殺した憎いヒラテを絞首刑にして、子供の仇をとってもらいたい」という電文を読み上げ、最後にこうつけ加えた。この両親のためにも、世界の平和を願うためにも、平手に絞首刑の宣告を下されることをお願いします」。

本日の朝日新聞社説は被害者の裁判への参加を取り上げていた。私は罪を憎んで人も憎む極々平均的な日本人で、勿論死刑存続派であるのだけれども、この件だけはどうも諸手を挙げて賛成とはいきかねる。というのはやはりこのBC級戦犯裁判の有り様が頭にあるからだ。被害者やその遺族が、被告を死刑にと求めるこの残酷さ。被告のやったことのほうが残虐じゃないかと言われるかもしれないが。やっぱり、こういう裁判を21世紀にやってよいのか、それも過去にこういう裁判をされたことのある日本人が、という思いがある。