【書評】奇をてらわず

奇をてらわず(四)

伊藤智永『奇をてらわず 陸軍省高級副官 美山要蔵の昭和』講談社昭和19年春、参本編制動員課長だった美山は、”高級”参謀次長の後宮淳に呼ばれて、対戦車戦法に関する研究を命じられた。研究結果は対戦車戦法研究会で美山が発表することになっていた。彼は研…

奇をてらわず(三)

伊藤智永『奇をてらわず 陸軍省高級副官 美山要蔵の昭和』講談社南進か北進かの問題において、美山は南進論を取った。彼は?できれば日ソ中立条約は破りたくない?ソ連の極東方面の兵備は以前固く、ノモンハンの二の舞になる?兵站線が延びすぎる?油が無いとい…

奇をてらわず(二)

伊藤智永『奇をてらわず 陸軍省高級副官 美山要蔵の昭和』講談社北支那方面軍が編成され、寺内寿一が軍司令官に親補された。寺内に下された勅語を起案したのは美山であった。「朕卿ニ委スルニ 北支那方面軍ノ統率ヲ以テス 卿宜シク宇内ノ大勢ニ稽ヘ 速ニ 敵…

奇をてらわず

伊藤智永『奇をてらわず 陸軍省高級副官 美山要蔵の昭和』講談社美山に関しては既に『廃墟の昭和から』という、彼の日記を元にした本があるが、本書はもっと正当な評伝で、特に戦後の靖国神社と千鳥ヶ淵墓苑の問題について詳しく扱っている(この辺は『廃墟…