禁輸否決仕掛けた密告

3月20日朝日新聞朝刊一面

難航するとみられていたクロマグロ禁輸をめぐる審議が、一転、採決へと動いた裏には、EU加盟国からの「密告」があった。
日本外務省幹部などによると、17日夜、ドーハの日本政府代表団に地中海沿岸のEU加盟国関係者が「18日に採決されればEUはまとまらない」と耳打ちしてきた。この国は、クロマグロを日本に輸出している国の一つ。EUは禁輸支持を決定しているが、本音では禁輸を阻止したいというジレンマを抱えておたとみられる。
同じ日、「早くに採決してしまおう」との意向を持つ国が複数あり、採決動議に向けた動きがあるとの情報も入ってきた。
日本には、委員会から作業部会に交渉の場を移すのを避けたい事情があった。作業部会には禁輸問題に関心を持つ国と環境NGOから攻め立てられ、劣勢に立たされる恐れがあるためだ。
日本は、採決実現に向け動き出した。日本が採決動議を出すとあからさまな議論阻止と映るため「どこかの国から動議が出されたときはぜひ賛成を」と訴えて回った。委員会当日、動議を出したのはリビアだった。