民主に挑む保守見たかった

朝日10月10日朝刊、政治コラム「政態拝見」星浩

急逝した中川昭一財務相(56)の告別式が9日、東京・元麻布の善福寺で執り行われ、多くの知人が故人との別れを借しんだ。自民党谷垣禎一総裁が、弔辞の中で「いまこそ自民党は保守の原点に返れ、という中川さんの考えを肝に銘じる」と述べていた。
中川氏と私は、憲法や外交などの考え方がずいぶん違っていたけれど、同世代ということもあっ、て年に2、3度は会食して議論をした。酒は飲んでいたが、さほど酔うわけでもない。聞き上手で、人懐っこい表情を見せながら割りはしの包み紙にメモをとっていた姿を思い出す。
最後の会合は6月だった。ローマでの酩酊会見で財務相を辞任した後だったので、自ら「謹慎中」と頭をかいていた。世論の逆風を痛感していたようで「こんどの選挙は、かなり厳しい」と話していた。「山県有朋 愚直な権力者の生涯」(伊藤之雄著、文春新書)が面白くて徹夜して読んだ、とも語っていた。

1年前に出版した「飛翔する日本」 (講談社インターナショナル)では「失われた10年が終わったら、もがいている10年が始まった」と書いた。
「ストレスがたまりやすい男だ。たくさんの懸案を抱えて、うまく行かず、酒で紛らわすしかなかった。睡眠剤にも頼っていた」と中川氏の友人。「二世議員のひ弱さ」とも言えるが、長年の自民党政治が行き詰まり、その壁の前で悪戦苦闘を強いられた政治家の姿を垣間見たような気がする。
政権交代で政治の閉塞状況は打ち破られた。自民党は野に下り、中川氏も苦杯をなめた。鳩山政権は、政策の見直しを次々と進めている。しかし、社会保障の立て直しや公務員の天下り規制など一筋縄ではいかない課題が多いことは、民主党の面々も承知している。民主党政治が成果を上げられなかったら、こんどは、再生した自民党が政権を奪還する。政権交代を定着させて新しい政策を勤かす。政治が活力を取り戻す中で、民主党に挑む保守派・中川氏の姿を見たかった。

愚直な権力者の生涯 山県有朋 (文春新書)

愚直な権力者の生涯 山県有朋 (文春新書)

早速買ってきたが、帰ってきたらエコポイントの図書カードが届いた・・・・
それにしても「政権交代で政治の閉塞状況は打ち破られた」は酷い。朝日はウハウハかもしれんが。