ゴング格闘技6月号

巽宇宙

―現在、サントリーでは具体的にどんな仕事をされていますか。
「最初に入ったときは食事部というところで、健康茶関係のプロダクトマネージメントをやっていました。去年の9月に異動があって、今は原料部というところで仕事しています。原料の購買です」
―一流企業で、現在頑張っていらっしゃると。
「やっぱり、森永(製菓)は一流じゃなかったですから。はっきり言って二流でした。そこが辞めた理由の一つでもあったし、その期間があって今苦しい思いをしていますよ」
―同じ一流企業でいうと、今はK1ファイターで電通の大渡選手がいますね。
「昔、電通の大渡さんとはたまに飲んだりしていたんですけど、今考えると、僕は森永では大渡さんより苦労していないと思うんですよ。電通だから、残業しないで帰るなんて許してくれないですよね。僕は森永に入った頃はそれが許されたから(笑)。残業しても、たとえば週1日で全部やっちやうという感じですよね」
―それは周りの同僚とは違っていて、特別扱いだった?
「うーん、そうでもないところもあって。今になってみると、森永では格闘技とサラリーマンを同時にやっていて、仕事量が圧倒的に少なかったですね。そこの負荷を、今感じていますよ。サントリーに入って、食事部では使えないとある程度判断されたんだろうし(苦笑)、やっぱり一つひとつの仕事がランクが高くて、求められるものも高い。なかなかきついですよ。だから、疲れているのかもしれないですね(笑)」
―すみません、久々に会ってすぐに『なんか疲れてますか』と聞いて(笑)。でも、体型は現役のときとあまり変わっていないですね。
「体重は増えないですね。全然ではないですけど、腹が出ているわけでもないし」
―東大、東大大学院を出て、森永に就職して、サントリーに転職してと、外野から見たらエリートのように見えますけど、中に入ればそれだけ求められる仕事のレベルがあって、今苦労されているわけですね。
「たとえば、今サントリーにいる若手1年生と、僕が森永のときにやっていた仕事量を比較すると、全然違う。『そら、差がつくわ』という感じですね。今までみんな溜めてきたものがあって、自分は溜めていないものをみんな特っているから、早くそれを溜めたい。僕もまだ二流ビジネスマンなので、早く一流になりたいと思っていますよ」

所がノゲイラに勝ったとき、刹那的に頭に浮かんだのが、この巽だった。本号は修斗特集ということで、巽のほかに整骨院をやっているクワタクのインタビューもある。増田氏の連載「木村正彦〜」はもうひとつだが、あのバリジャパ95と、そこに至るまでの中井さんの物語は熱い。そっちに力入り過ぎた?
それにしても所は元気が無い。前田とは離れたほうがいいと思うが、難しいだろうな。例えば秋山なんかだと、どんなに前田と親しくても、彼に教えを請うたり、セコンドについてもらったりはしないだろうが。やっぱり自分本位なやつほど強い。

追記

巽のインタビューで「まあ当時のK'zが今のK'zになっちゃっているのは、草柳さんの責任じゃないですか」という発言があるが、この発言はもうちょっと掘り下げてほしかった。