巣鴨で二番目に処刑されたのは18歳の少年

巣鴨プリズンで、戦犯として最初に絞首刑となったのは由利中尉、二番目は福原大尉である。しかし大尉の処刑は戦犯としては二番目だが全体では三番目だ。二人の間に18歳のTという少年が処刑されている。Tは昭和20年12月北海道で、米軍隊舎に盗みに入り、追いかけてきた米兵を刺し殺した。Tは直ぐに捕まり、1ヵ月後には米第9軍の軍事裁判で絞首刑の判決を受け、巣鴨に移送された。処刑前に花山信勝に促されて遺書を書き、ビスケットをかじって13階段を上った。

お父さん、お母さん、いついつまでも、どうぞお元気で。なにも思ひのこすことはありませんが、親孝行のできなかつたことだけが、ざんねんです。いづれ、お浄土でお会ひしませう。
 二十一年五月十七日午前四時二十七分

巣鴨プリズン―教誨師花山信勝と死刑戦犯の記録 (中公新書)

巣鴨プリズン―教誨師花山信勝と死刑戦犯の記録 (中公新書)

巣鴨プリズン13号鉄扉 裁かれた戦争犯罪

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