愛が足りない

南京虐殺を正当化する人の思考 - クッキーと紅茶と(南京事件研究ノート)
南京に限った話ではないけど、こういう不祥事を否定したがる人々は、皇軍が完全無欠でないと愛せないのかな?愛が足りてない。

大義明白なる戦争発起も、之に従ふ上下、大義不分明ならば、各々自己を執つてその保存に懸命の努力を終始せん。上は其の功を競ひて他の損傷を顧みず、下は自己保存の極限を発揮して上を怨嗟す。一度敵地を占領すれば、敵国民族なる所以を以て殺傷して飽くなし、略奪して止まる所を知らず。悲しむべし、万端悉く 皇軍の面目更になし。皇道は空華、施布は国裏の禅、現皇軍が 皇化第一線の使徒たること遠しも遠し、正に白雲万里なり。
(中略)
即ち皇軍は、神将神兵ならざるべからず。此の精神だに徹骨徹髄透徹しあらば、忌むべき皇軍汚辱の自己功名保存の利己的戦争とはならざるなり。神将は戦術秘奥の極上を傾倒し、神兵は訓育精華の極底を吐露して、殉皇す。茲に万生化育の聖業は進む。皇軍の真面目躍如たり。
然るに見よ、一会戦終わる毎に、上下の秩序は愈々乱れ、下は増上漫となり、自己所属の将にあらずんば、全く無差別下克上となり、上之れを指導するの明識を欠き、功名に酔ひて一時を糊塗して、皇軍崩壊の遠因素縁をなし、皇国の安危慮外に在るものの如し。皇軍緒戦に於て既に然り。
世界興亡の足跡を仔細に検討せよ。其の滅亡の最大原因は常に飽くなき利己心、停止を知らざる自己保存ならずや。かくして今次の戦争は帝国主義戦闘にして、亡国の緒戦と人謂わんに、誰人が何んと抗弁し得るものぞ。国を廃頽に導くものは共産輩に非ず、人民戦線に非ず、乃至社会主義にも非ず。此等の主義は日本精神練磨の大砥石なり、為に皇精神は愈々光を放つ。亡国は底なき自己保存、飽くなき利己心にあるのみ。
杉本五郎中佐*1遺稿『大義』第十七章 戦争

歩兵第11連隊大隊長として出征した杉本五郎少佐は、戦場における我が軍の綱紀の頽廃を目の当たりにして上のような文章を書き、思いっきり当局の検閲をくらうわけだけれども、それでは杉本少佐は国を、皇軍を愛していなかったのか?