皇国の守護者の・・・

新城と猪口を見てると、何となく五味川純平の大ベストセラー『人間の條件』の梶と鳴戸を思い出した。もちろん職業軍人たることを志した新城や猪口と、召集兵の梶たちの間には大きな相違があるが。そういえば以前、『虹色のトロツキー』を読んだときも、最後のノモンハン戦は五味川っぽいなと感じたのを思い出した。実際、戦場まで尋ねてくる恋人や、その恋人の元に帰ろうとして行き倒れる主人公というプロットは『人間の條件』の影響じゃないかと思うが。

そういえば河野司氏は、有馬頼義の「強盗、強姦」発言(?)に抗議するとき、三島由紀夫と共に、五味川にも相談をしている。私はこれをの『私の二・二六事件』で知って、ちょっと驚いた。三島と五味川といえば、思想的にはほぼ逆の人物だろう。その二人が共に、「無視しろ」という助言をしたというのも面白いが(五味川の方がより強烈だったそうだ)、五味川、三島の両方と付き合える司氏もすごいなあと思ったものだ。高一の夏休みに『戦争と人間』は読んだ。これは終戦までをみっちり描いた超長編だけに、当然二・二六事件も触れられているはずだが、今は全く記憶にない。