SAPIO・栗林忠道将軍の最期

SAPIOという雑誌に、大野芳氏が栗林中将についての文を寄せておられた。ざっと立ち読みしただけだが、おやっと思うことがあった。大野氏の『オリンポスの使徒』や、氏がSAPIOの文中でしきりに引用していた堀江芳孝氏の『闘魂硫黄島』については、私も以前このブログ上で書いたことがある。

闘魂硫黄島
NHKスペシャル硫黄島・異聞

その中でも、降伏を持ち出した栗林忠道将軍が、中根兼次参謀に殺されたという話は紹介した。しかし私は、噂の根源である某下士官が、大野氏の取材に対し証言を断ったという点から、この話はどうも嘘臭いと判断していた。ところがSAPIOを読むと、この小田曹長は、実際は大野氏に対してある程度喋っているようだ。それによると小田氏は、水晶(発振機?)を取りに戻ったところで、中根参謀が「待て」と叫び栗林将軍の首を刎ねるのを見てしまったという。氏の態度からして、軽々しい気持ちで、あるいは戦後の反軍的風潮に乗って出鱈目を述べたというわけでは無さそうだ。これはひょっとするとひょっとするのかなあ・・・勿論、斬った人と斬られた人が、それぞれ中根参謀と栗林将軍であるという確証は無いわけだが。

ちなみに小林よしのり氏の漫画では、ユダヤ人問題に関連して、松岡洋右東条英機樋口季一郎、犬塚惟重、安江仙弘らが取り上げられていたが、私的にはあんまり面白い話でもなかった。樋口中将に関しては、自伝を読むのが一番良い。中々達者な文章で面白い。芙蓉書房から再販されているようだ。又安江大佐に関しては、ご子息が本を出しておられる。

それにしてもつくづく、戦場の実相を知るというのは難しいと思った。

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