戦場の人間学

著者の篠原氏には小川又次田村怡与造の本がある。
副題は「旅団長に見る失敗と成功の研究」
さらに帯には
「できる男」「できない男」日露戦争戦略と戦術、勝利と敗北の構図。実戦で力を発揮するには何が必要なのか。またどうしたら成果をあげられるのか。三人の指揮官に見る指揮統率の要諦。勝敗の分岐点に学ぶ。
もういい加減安っぽいビジネス書みたいな売り文句は止めて欲しいんだが。これを読んで興味を持って買う人が居るのか?

旅団長という職は、師団の数も知れていた日露戦争の頃は、まだ重要な役職だった。時代が下り、数十の軍司令部と数百の師団が編成されるようになって、完全に閑職化したが。日露戦争自体が話題に上ることは非常に多いが、出てくる人物はいつも馬鹿の一つ覚え。そういう中、こういう本は嬉しい。

で、できる男というのは花の梅沢旅団の梅沢道治と岡崎山の岡崎生三、「できない男」というのは東条英機親父殿を指す。梅沢将軍は、まあかなりの有名人だろう。「平時の講評はこれを取り消す」は有名な手紙だ。岡崎将軍を取り上げてくれたのは嬉しい。饅頭山を奪取した猛将なんだが、知名度が低すぎる。第二師団の勇戦はこの人ともう一方の旅団長だった松永正敏に負うところが大きいと云われる。できれば松永将軍にも触れて欲しかったな。英教さんは、まあ陸大1期の恩賜であり、また息子が息子だけに、知名度はある。ただ結局机上の人であったようだ。戦術家として期待されながら、その期待を裏切った旅団長は、彼のほかに須永武義、山口圭蔵が挙げられるが(これは石光真清の本に載っていた)、運不運もあるし、決め付けるのは気の毒な気もする。

ところで下の写真、向かって左の腕組みしている青年将校は誰だか分かるだろうか?


ヒントは、この写真は梅沢旅団の司令部の写真だということ。分からん人は、鼻の下に長い八の字髭をイマジネーションで付け加えて欲しい。するとどうだろう。あら不思議w いやー爽やかですなあ。ちなみに右端の人物も大将にまでなっている。


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