ジャーナリストと軍人

戦後、多くのジャーナリストが、政界や軍界の裏面史を本に著し、
ヒットをとばした。彼らの書いた本を読んで、私はそれらの多くに
共通点があるように思った。
それは人物評が極端だということである。筆者が良いと思った人物は
とことん持ち上げられ、逆に悪いと思った人物は糞味噌に貶される。
元々読ませる文章を書ける人々が描き出す、善悪に二分化された
雲上界。好奇心旺盛な大衆にアピールしないはずはない。

しかしそれらは公平な視点で書かれたとは言い難い。
結局彼らジャーナリストの人物評というのは、親しさの
度合いに比例しているのだ。自分が親しくしていた人、
情報を良くくれた人には甘く、あまり親しくなかった人、
自分が親しくしていた人と対立する立場にあった人に辛い。

だから読むなっちゅうわけではない。大体そんなこと言う権利、
私には無い。実際彼らの書いた本は面白いし、初心者をこの
世界に誘うにはもってこいだと思う。かくいう私も、高宮太平
『昭和の将帥』がきっかけで、この世界にはまったのだから。

結局一冊の本に頼りきらず、できるだけ沢山の、異なった視点の
本を読むことが大事だと思う。