【感想】歴史関係書籍

第三帝国の中枢にて

第三帝国の中枢にて-総統付き陸軍副官の日記posted with amazlet at 12.11.28ゲルハルト・エンゲル バジリコ 売り上げランキング: 607476Amazon.co.jp で詳細を見る陸軍総司令官の後任の件。破局の余波はまだ残っている。総統はシュムントとわたしを相手に、…

ザ・コールデスト・ウィンター<上>

ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 上 (文春文庫)posted with amazlet at 12.10.24デイヴィッド ハルバースタム 文藝春秋 (2012-08-03)売り上げランキング: 39091Amazon.co.jp で詳細を見るハリマンもリッジウェイも後に気がつくことになる。マッカーサ…

二・二六事件秘話

河野司氏の「二・二六事件秘話」が復刻された。末松さんのブログで知ったわけだが、ここに告知しておく。二・二六事件秘話 (KAWADEルネサンス)posted with amazlet at 12.01.24河野 司 河出書房新社 売り上げランキング: 62731Amazon.co.jp で詳細を見る

中江丑吉の人間像

阪谷芳直・鈴木正編『中江丑吉の人間像 兆民を継ぐもの』風媒社何処で読んだか忘れたが、中江兆民は息子が車引きになってもいいように丑吉という名前をつけたと記憶している。しかし姉は千美といい、弟の娘には猿吉(えんきち)と名付けているところから、た…

現代史の対決

秦郁彦『現代史の対決』文藝春秋お盆の古本祭りで購入。1998年から2002年に主に『諸君』に掲載された文章を纏めたもの。この頃は、”自虐史観”に対する”自由主義史観”が台頭して来ていたが、まだ”自虐”側もそれなりに頑張っており、そして何より田母神や在特…

ノモンハン戦争

田中克彦『ノモンハン戦争 モンゴルと満州国』岩波新書引用したい箇所が多すぎて逆にこういう手抜きレビューになっているが、文句なしに面白く、非常に読み応えがあった。

日本陸軍と内蒙工作

森久男『日本陸軍と内蒙工作 関東軍はなぜ独走したか』講談社選書メチエ今日、会社でこの本を読んでいて次の部分にウギャッとなった。 五月一日、田代皖一郎中将が支那駐屯軍司令官に就任した。佐賀閥である田代は、参謀本部支那課長や中国公使館付武官を歴…

火はわが胸中にあり

澤地久枝『火はわが胸中にあり 忘れられた近衛兵士の反乱 竹橋事件』岩波書店角川から出ていたものを、岩波現代文庫が再販した。実に53名もの下士官兵が銃殺された竹橋事件を描いた力作。文庫本ながら千円を超えるがその値打ちはあると思う。まあ岡本柳之助…

私は吉田茂のスパイだった

保阪正康編『私は吉田茂のスパイだった』光人社NF文庫 東輝次氏は大正9年生まれの姫路の人。現役で入隊し、陸軍中野学校を経て陸軍省防衛課附。昭和19年冬にスパイとして吉田茂邸に奉公に上がった。この人物については、畠山清行氏の『陸軍中野学校?諜報戦史…

維新風雲回顧録

田中光顕『維新風雲回顧録』河出文庫 これも古本祭りで購入した一冊。田中光顕は土佐郷士で司馬遼太郎さん曰く「典型的な二流志士」。しかしこの本(語りおろし)はめちゃくちゃ面白い。京都潜伏中に鳥尾、品川と比叡山に登り、心配した山縣が、帰ってきた3…

カウラの突撃ラッパ

中野不二男『カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットはなぜ死んだか』文春文庫 オーストラリアにおける日本軍POW1号にして、カウラ事件で文字通り突撃ラッパを吹き鳴らし、”戦死”した零戦パイロット”南忠男”。彼は本当に事件の首謀者なのか。著者の丹念な調査は…

風成の人

坂本龍彦著『風成の人 宇都宮徳馬の歳月』 岩波書店宇都宮太郎の長男徳馬の生前に出た評伝(?)。東京府立一中から陸軍幼年学校予科に進んだが、幼年学校卒業後、陸士ではなく旧制水戸高校へ進んだ。関東大震災での朝鮮人虐殺や大杉栄の殺害に強い衝撃を受…

鵜沢総明

石川正俊『鵜沢総明』技報堂 光市事件の影響で鵜沢総明の伝記を読んだが、これが瓢箪から駒。鵜沢博士といえば相沢三郎の弁護に立ち、東京裁判では弁護団長を務めた人。これだけを見たらちょっと皇道がかったお爺くらいに思えるが、どうしてどうして。その弁…

二・二六事件とその時代

筒井清忠『二・二六事件とその時代』ちくま学芸文庫 圧巻はなんといっても第四章・昭和陸軍の原型(プロトタイプ)ーバーデン・バーデンから一夕会までーです。二葉会、木曜会、一夕会のメンバー表や出欠、討論の内容にいたるまで、非常によくまとまっており…

昭和の反乱

石橋恒喜『昭和の反乱 三月クーデターから二・二六事件まで』上下 高木書店 著者は東京日日新聞の記者で、平野零児の後を襲って陸軍担当となった。立場的には青年将校に近く、特に二・二六事件の蹶起将校たちより一段上の山口一太郎や柴有時と親しかった。定…

評伝川島芳子

評伝川島芳子―男装のエトランゼ (文春新書 625) 紹介するのが遅れましたが、なかなか良かったと思います。写真もふんだんに使われており、特にカンジュルジャップがえらく好男子なのには驚きました。またこのブログでは常連ですが、従来の川島芳子本ではさら…

凩の時

コメント欄で薦めていただいた『凩の時』を入手し、読み始めました。まず分厚い。『世界史としての日露戦争』ほどではないが。しかし、まだ数十ページしか読んでませんが、これは間違いなく面白いですね。その上確かに著者が宇都宮太郎日記を読んでいる節を…

メモ『二・二六暗殺の目撃者』

著者の有馬頼義は斎藤内府の縁者であったことから、二・二六事件を「強盗、強姦のたぐい」と怒りに任せて評したことがある。これに仏心会の河野司氏が反応して論争となった。この本は、河野氏への反論代わりに週刊新潮で連載されたもの。私は別に河野氏の論…

ちっちゃな頃から歴オタで

ようやくブログらしい更新頻度に。自分は高校の文理分けでも理系、大学はキソ工、今の仕事もまあ理系ですが、歴史はずっと好きでした。最初に触れた歴史物は小学校3年くらいのときの三国志。で、どこに反応したかというと車騎将軍とか、越騎校尉とか。そう…

閑話休題

舩木さんの「岡村寧次大将」読み直してて、自分の、民国期の政治家、軍閥に関する知識が、いかに付け焼刃なものか痛感しました。とりあえず波多野善大『中国近代軍閥の研究』読み直してますが、これはもっと難しい。手頃な人名事典みたいなのないですかね。…

ジャーナリストと軍人

戦後、多くのジャーナリストが、政界や軍界の裏面史を本に著し、 ヒットをとばした。彼らの書いた本を読んで、私はそれらの多くに 共通点があるように思った。 それは人物評が極端だということである。筆者が良いと思った人物は とことん持ち上げられ、逆に…

中国の中の日本人

『中国の中の日本人』 梨本祐平 1969 同成社読もう読もうと思いながら後回しになっていた本。著者は国民新聞の記者から満鉄に移り、さらに松岡洋右の斡旋で 聯合通信社の政治部記者に。昭和10年、再び松岡の命で満鉄に 呼び戻され、華北に。華北では支那駐屯…

世界に示した日本人の力

『北京燃ゆ 義和団事変とモリソン』ウッドハウス暎子著 東洋経済新報社 山東省の片隅で起こった拳匪の反乱は、1900年の5月には北京に達した。6月11日、日本公使館員杉山彬が義和団に斬殺され、危機感を高めた列国公使館も防備を固め始めた。しかし、総理衙門…