また巡りくる冬の日に

今朝は母の髪を切った。長いままだと抜けた毛の処理が大変ということで。逆はよくあったけど、まさかこんなことになるとはね。感染症も怖いので、病室に置いてあるシュシュッとする手指消毒薬を、携帯用と据え置き用とネットで注文した。
昼からはWOWOWで『ヒトラーの贋札』を見て、その後チャンネルを変えると『動乱』をやってた。批評のしようの無い怪作という印象を受けたが、また今年も2月26日が巡ってきたんだなあと気付いた。私は今年もまたヤルヤル中尉で終わった。
単行本系は引越の直後に本棚に無茶苦茶に並べたけど、そこで息切れして文庫本は未整理のまま3週間が過ぎようとしている。もう棚に余裕はないので、あまったダンボールを工作して、文庫本用の収納箱を作ろうと思う。

しかし悪いことばかりじゃない。押入れの奥にしまいこまれていた本が引越のお陰で表に出てきた。昨日の晩、ちらっと徳富蘆花*1の『寄生木』をパラパラとめくったら、小笠原善平は28歳だったと書いてあった。もう私は彼より長く生きてるのだ。そう思うと急に、それではシーモア・グラスは何歳だったんだろうと気になって、今のところ枕元にある『ナインストーリーズ』のあれを読んだけど年は出てなかった。しかし今朝起きて『シーモア序章』を読んだら31歳となってた。そのまま布団の中で『フラニー』、『ゾーイー』も読んだ。
サリンジャーといえばユダヤ人。で村上春樹とくれば、最近一部ネットで話題のエルサレム賞*2。軽くは追っかけてたけど、正直実生活がここまでしんどいとコミットする気にはなれない。っていうか卵だ壁だ、船を降りるや降りないや聞いてると、いらっとくる。われながら狭小なことだ。
出勤時間が一時間早くなったため新聞も精読はできていないんだけど、今朝の朝日には東京裁判関連で面白い記事があった。多分id:Apemanさんが紹介してくれるだろうと思って待ってたら予想通り。
東京裁判で弁護人が判決に関与? - Apeman’s diary
コメント欄には社会面の記事もUPされている。待てば海路のなんとやら。林逸郎の本は去年買ったんだけど、あんまり面白くなくて、途中でとまってる。三文字正平といえば確かA級七氏の遺骨奪取に関わっていた人だと記憶しているが定かではない。池田純久はれっきとした陸軍中将*3。普通の軍人とはちょっとちがう経歴の持ち主だが。梅津とは同郷だけど、あんまり親しくもなかったと本人は書いていたと思う。
それからやはりApemanさんのところで知った白戸仁康『北海道の捕虜収容所 もう一つの戦争責任』を注文した。道新選書といえば一冊だけ、平澤是曠氏の『叛徒』を持ってる。北海道と二・二六事件は意外に縁深い。

ただし、本書では簡潔にしか記述されていないものの、当時の北部軍司令官は第二代所長の方針について一定の理解を示していたようにも考えられる。この司令官とは「オトポール事件」の樋口季一郎中将であった。

樋口は自著の中で、俘虜の「厳重処理」について何度も考えたが、そのたびに参謀長の萩中将と憲兵隊長の森藤少将に、「厳重処置はいつでもできます。私共におまかせください」となだめすかされたと、書いている。まあ彼の性格や当時の北方方面の状況からいって、この厳重処理がどこまで本気だったのかは疑わしい。これはまあ”謙譲の美徳”というやつだろうが、考えてみたら内地の軍管区司令官で無罪は彼と朝鮮の上月良夫だけで、あとは皆死刑、自決、無期。

*1:勿論正確には彼の文じゃない

*2:もう終わった?

*3:http://imperialarmy.hp.infoseek.co.jp/general/colonel09/ikeda.html